塩味ビッテンさん
レビュアー:
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障害を負った少女がピアニストを目指す根性青春ものと思いきや、彼女の周囲での連続殺人ミステリーと思いきや、ピアノ曲を文章で表現する音楽小説。虻蜂取らずで今一つだけど、最後まで読ませる力量はありました。
リードで述べた通り、構成がスポコン(?)青春劇、ミステリー、音楽小説の大きく3つの柱から成り立っていますが、この3本柱がそれぞれ独立性が高くあまり干渉し合わない。つまり各章でスポコンの話ばかり、ミステリーの話ばかり、音楽描写の話ばかりだったりして一体感がないのです。即ち物語がブチブチ途切れている印象で、まことにもったいない。
時系列の問題で言えば、主人公の少女がやけどから回復する期間が常識外れに短いし、ピアノの上達指数が驚くほど速い。地球外生命体かと思う程のスーパー女子高生です。この辺りに違和感があります。
ストーリーをざっと述べますと。先ず前半150ページくらいまでははスポコン(?)青春劇、
ピアニストを目指し練習に励む16歳の少女・遥は祖父と従姉妹のルシアとともに自宅の火事にあい、全身大火傷を負ってしまう。ブラックジャック真青の名形成外科医によって顔は元通りになりますが、ピアニストとしての生命線である指は瘢痕拘縮して自由に動きません。それでもピアニストになるという夢を叶えるべく、天才ピアニストにして美形の岬先生にコーチを受け必死に猛レッスンに励みます。目指すはコンクールの優勝です。
ここまでのお話は昭和のスポコンの焼き直しですね。塩味は「エースをねらえ」を思い出しちゃいました。でも艱難辛苦を乗り越えようと刻苦努力する姿にはひきこまれるところがあります。
さてここでやにわに転調ですよ。ミステリーゾーンに突入します。
コンクール出場を目指すようになった遥の周囲で不穏な出来事が頻発…やけどの後遺症で足の不自由な彼女を狙って階段の滑り止めが外されていたり、松葉つえに細工がされていたり。そしてついには、遥の母親が石段から突き落とされて死んでしまいます。先の祖父と従姉妹も焼き殺された疑惑が持ち上がって、連続殺人事件の様相。どうやら焼死した祖父が残した12億円もの遺産相続に絡む事件と思われます。
ここまでの登場人物が少なく、既に3人死んでいるために犯人は、家政婦、伯父、ピアノの先生・岬、弁護士に絞られてきますがその結果はずっと後に探偵役の岬先生によって明かされる事になります。
このミステリーパートではあからさまな伏線、明らかに怪しい登場人物のそぶりなどが鼻につくため、塩味のように目の肥えた(えっへん)推理小説ファンには胡散臭さ満点。こいつはミスリードがどこかにあるぞと用心しながら読んでいく展開です。
とかくするうちに音楽小説パート。天才ピアニストの岬が奏でる演奏や、コンクールで演じられるいくつものピアノ曲を文章で表現しています。これらが素晴らしいという評も多いのですが、どうも音楽的素養がない塩味にはピンときません。つまりこの部分は煩いばかりで塩味にとってはパスです。
ともあれ不十分な体調で臨んだコンテスト。杳として犯人像が浮かび上がらない連続殺人事件。どう決着をつけるのですか!!!ドンドン!!!とコーフンしながら残り25ページを迎えます。
ここからはネタバレですので書けませんが、まあまあのどんでん返しと予定調和の最期を迎えます。
ミステリーとしては少し騙されたので4点、少女が音楽を通じて悲しい現実に立ち向かうけなげな様子に4点、残念ながら皆さんが高評価の音楽文学に対しては塩味が造詣が少なく楽しめなかったので2点。総合得点3点です。
ところでこの小説の題名「さよならジュピター(小松左京)」と混乱してましたよ。
時系列の問題で言えば、主人公の少女がやけどから回復する期間が常識外れに短いし、ピアノの上達指数が驚くほど速い。地球外生命体かと思う程のスーパー女子高生です。この辺りに違和感があります。
ストーリーをざっと述べますと。先ず前半150ページくらいまでははスポコン(?)青春劇、
ピアニストを目指し練習に励む16歳の少女・遥は祖父と従姉妹のルシアとともに自宅の火事にあい、全身大火傷を負ってしまう。ブラックジャック真青の名形成外科医によって顔は元通りになりますが、ピアニストとしての生命線である指は瘢痕拘縮して自由に動きません。それでもピアニストになるという夢を叶えるべく、天才ピアニストにして美形の岬先生にコーチを受け必死に猛レッスンに励みます。目指すはコンクールの優勝です。
ここまでのお話は昭和のスポコンの焼き直しですね。塩味は「エースをねらえ」を思い出しちゃいました。でも艱難辛苦を乗り越えようと刻苦努力する姿にはひきこまれるところがあります。
さてここでやにわに転調ですよ。ミステリーゾーンに突入します。
コンクール出場を目指すようになった遥の周囲で不穏な出来事が頻発…やけどの後遺症で足の不自由な彼女を狙って階段の滑り止めが外されていたり、松葉つえに細工がされていたり。そしてついには、遥の母親が石段から突き落とされて死んでしまいます。先の祖父と従姉妹も焼き殺された疑惑が持ち上がって、連続殺人事件の様相。どうやら焼死した祖父が残した12億円もの遺産相続に絡む事件と思われます。
ここまでの登場人物が少なく、既に3人死んでいるために犯人は、家政婦、伯父、ピアノの先生・岬、弁護士に絞られてきますがその結果はずっと後に探偵役の岬先生によって明かされる事になります。
このミステリーパートではあからさまな伏線、明らかに怪しい登場人物のそぶりなどが鼻につくため、塩味のように目の肥えた(えっへん)推理小説ファンには胡散臭さ満点。こいつはミスリードがどこかにあるぞと用心しながら読んでいく展開です。
とかくするうちに音楽小説パート。天才ピアニストの岬が奏でる演奏や、コンクールで演じられるいくつものピアノ曲を文章で表現しています。これらが素晴らしいという評も多いのですが、どうも音楽的素養がない塩味にはピンときません。つまりこの部分は煩いばかりで塩味にとってはパスです。
ともあれ不十分な体調で臨んだコンテスト。杳として犯人像が浮かび上がらない連続殺人事件。どう決着をつけるのですか!!!ドンドン!!!とコーフンしながら残り25ページを迎えます。
ここからはネタバレですので書けませんが、まあまあのどんでん返しと予定調和の最期を迎えます。
ミステリーとしては少し騙されたので4点、少女が音楽を通じて悲しい現実に立ち向かうけなげな様子に4点、残念ながら皆さんが高評価の音楽文学に対しては塩味が造詣が少なく楽しめなかったので2点。総合得点3点です。
ところでこの小説の題名「さよならジュピター(小松左京)」と混乱してましたよ。
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「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。
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- ページ数:415
- ISBN:9784796679923
- 発売日:2011年01月12日
- 価格:590円
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